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【白山・別山】白山禅定道~チブリ尾根周回 2018/7/18~7/19 [山歩き・ウォーキング]
御舎利山からチブリ尾根を下る途中から眺める白山御前峰。雄大かつ優美な姿。
場所・山行日 |
「白山:はくさん:2072.14m一等三角点」「別山:べっさん:2399.31m二等三角点」
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ルート |
1日目:市ノ瀬~六万山~指尾山~慶松平~別当坂分岐~殿ヶ池避難小屋~黒ボコ岩~南竜山荘
2日目:南竜山荘~油坂~天池~別山~御舎利山~チブリ尾根避難小屋~猿壁登山口~市ノ瀬 |
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歩行距離 | 1日目:11.6Km/13.0Km 2日目:14.4Km/15.8Km 2日間計:26.0Km/28.8Km(平面/沿面距離) |
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標高差 | 市ノ瀬~黒ボコ岩+1510m 黒ボコ岩~南竜山荘-260m 南竜山荘~赤谷-60m 赤谷~別山+380m 御舎利山~市ノ瀬-1550m |
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所要時間 | 1日目:11時間20分 04:49~16:10 (休憩・昼食時間含む) 2日目:10時間40分 03:36~14:16 (休憩・朝食時間含む) Google earth俯瞰図はこちら |
まだほんの3回目ですが、毎年この時期の恒例になりつつある加賀白山エリア。一昨年は上小池から別山を、昨年は別当出合から室堂へ王道を歩きました。今年はステップアップして市ノ瀬から白山禅定道~チブリ尾根の周回を意気込んで計画しましたが・・・
※花の山・白山では今回も多くの高山植物に出会いました。写真を幾つか撮りましたが、ここでは長くなりますので下記リンク記事にまとめてあります↓
白山と別山の植物【備忘録】
午前0時に自宅を出発して九頭竜湖駅(九頭竜道の駅併設)に着きました。真夜中のティラノは迫力あります。
白山と別山の植物【備忘録】
午前0時に自宅を出発して九頭竜湖駅(九頭竜道の駅併設)に着きました。真夜中のティラノは迫力あります。
市ノ瀬を午前3時半頃スタートする計画だったのに、到着が遅れてスタートが5時近くに… 端っから計画の甘さを露呈してしまいました。広い駐車場ですが、あえてビジターセンターから離れたこの樹の下に駐めました。
市ノ瀬園地の吊り橋です。ここの広場にも一台駐車してありました。
手取川を渡って対岸へ、結構揺れます。
別当出合に向かう車を尻目に、車道を600mほど歩いて写真の登山口へ。きっと ”こんな所から歩く物好きも居るもんだ” と思われたに違いない。
よくレポートに登場する廃重機のランドマーク。キャタピラ駆動で荷台とクレーンが付いていました。
コブこぶブナ。
斜面を登り切ると林道に出ます。白山禅定道は向かいの斜面を登ります。
林道を行けば釈迦新道ですが、土砂崩れで橋が埋まって通行禁止になっていました。
雪国らしくブナの巨樹が幾つも現れます。
急斜面のジグザグ道を登って尾根に乗りました。ここから誰一人会うことのない静かな禅定道を六万山から指尾山を通って慶松平へ。ブナやヒノキの巨木や大岩が多く、とても雰囲気の良い尾根道です。やはり白山は奥が深い、ますます好きになりました。
六万山:ろくまんざん。展望はありません。
しばらく歩いて指尾山の頂上です。三等三角点「指尾:1417.93m」がありました。展望はありませんが、少し先へ進むと、
表示板が設置された展望地に出ます。
大汝峰と御前峰が正面に見えます。遙か彼方です^^;
少し左には白山釈迦岳。この尾根にはオオサクラソウが咲くそうです、いつか歩いてみたいですね。
指尾山から下った所の展望地から見た、湯の谷の砂防堰堤群と御前峰。
調べていて知りましたが、今から80年以上前の1934年、今回歩いている尾根の右側(別当谷側)の斜面が雪解け水と豪雨が重なって大崩壊(別当大崩れ)し市ノ瀬は壊滅、さらに下流まで甚大な災害をもたらしたそうです。砂防堤がたくさんあるのは、そんな事があったからなのですね。今も工事が進められている最中です。
マンモスの牙みたい。
剃刀窟。仏像が安置してありました。
展望地で休憩、すでに暑くなってきました。登って来た西側の風景です。
立ち枯れの巨木の、折れた枝の空洞に咲くツツジ。一体どうやってここに根付く事になったのでしょう?
南側の眺め。高い部分が御舎利山と別山のピーク、手前がチブリ尾根。帰りはあの尾根を下る予定です。
階段が何ヶ所も整備されていしました。角度が急な階段もあり、そこは三点支持で這って登る感じ^^
巨岩の上にのし掛かる巨木。写真では分かりませんが、かなりの巨木です。
白山は花の百名山でもあります。ちなみに選定花はミネズオウ。弥陀ヶ原のエコーライン沿いでしか見られないと、昨年観察員の方から教わりました。
写真はゴゼンタチバナ。”御前”とは、ここ白山御前峰のことだそうです。ここより標高の低いところでは花は終わっていました。
慶松平に近づくと御前峰は見えなくなります。写真奥、一番高い部分の向こう側が弥陀ヶ原です。まずは一番手前の急斜面が第2関門です^^;
慶松平の木道とニッコウキスゲ。
別当坂分岐付近。別当出合からのルートがここで合流し、この先は観光新道と呼ばれます。
今回の一番の難敵は予想していなかった「暑さ」。ここまでは森の中なのでまだマシでしたが、この先は遮るものがなく、炎天下にさらされ続けどんどん体力を消耗していく…
後ろの台地が通ってきた慶松平です。
炎天下の尾根道。今年の夏は異常に暑いです!(汗)
ミヤマシシウドと別山。
ナナカマドの赤が青空に映えます。
仙人窟を通過。
白山釈迦岳の凜々しい姿。
当初計画では室堂で昼食の予定でしたが、出発が1時間半遅れたのと、予想外の暑さでペースが上がりません。とりあえず避難小屋まで行って食事にしようと思いますが、まだ遠い・・・
白山釈迦岳と高さが近くなってきました。
休みながらも必死に歩きましたが、とにかく暑い!暑すぎる… 一人また一人と抜かされて、殿ヶ池避難小屋に着いて遅い昼食を終えた頃にはすでに13時半近くになっていました。ここであっさり御前峰登頂をあきらめ、黒ボコ岩から下ってこの日の宿の南竜へ向かうことを満場一致?で決定!^^;
ハクシャンシャジンの群生。
タカネマツムシソウ。
小屋からはまた急登で、少し歩いては立ち止まり、また少し歩いては立ち止まりの連続。多めに持って来たつもりの飲料水も残り僅かになってきました。
このあたりでソロのお姉さんに追い越される。聞くと同じように市ノ瀬から白山禅定道を歩いて来たそうです。今日は室堂泊まりだそうだ。私達の足跡が励みになってくれたなら、無理して登った甲斐があったというものですね。
小さくて可愛いクルマユリ。思いっきり反り返って受粉を催促しています。
あのピークの左側が黒ボコ岩です。
そしてようやく黒ボコ岩にたどり着いたのは、もう15時になろうとする頃でした(汗)。
弥陀ヶ原を目前にして下るのは本当に残念、でももう気力が残っていません。延命水を飲んで僅かに体力を回復させ南竜山荘へと向かいました。
谷間の岩陰に咲くヤマガラシ。
キヌガサソウは大きくて派手な花です。とても野生種とは思えませんね。
分岐地点まで降りてきました、ここから南竜道へ。この後登りが少しあります。
南竜道を行くと明日歩く予定の油坂(写真)が見えてきました。雪渓が残っていますね。
万才谷の橋を渡る。
ようやく南竜山荘です!何とかたどり着きましたヤレヤレ。
宿泊棟は一番上の建物です。
玄関の売店です。南竜山荘は巨大な室堂施設と違って、こじんまりとしてアットホームな雰囲気で好感が持てました。到着が遅かったせいか?32人寝られる部屋にたった5人だけという余裕の宿泊でした。
午後5時から夕食です。ご飯はお代わり自由、他に海苔佃煮とちりめん山椒は食べたいだけ。
食後のBEERは欠かせません!^^
ベランダからの夕景、経ヶ岳・赤兎・大長山が雲の上に。
ここの難点は白山エリアで唯一のテント場が小屋から離れ過ぎていること、テン泊の方は皆さん愚痴をこぼしていました。早出の為の準備を終えると、19時前には疲れていつの間にかグッスリ眠ってしまいました。
翌日は鈍足を少しでもカバーするため午前3時前に起床。この日は別山へ寄ってチブリ尾根を下る予定。外に出てみると夜空は快晴です!満天の星と天の川、流れ星が次々と現れては消えていきます。
この日も素晴らしいお天気が予想されましたが、喜んでばかりはいられません。まだ真っ暗な早朝だというのに、標高2000mを越える南竜でも気温はすでに15度C!これで太陽が昇ったらどうなるかは、昨日の尾根歩きで身に染みて分かっていました。
こっそり出発、お世話になりました!m(_ _)m
なるべく早く主稜線に乗りたいと気持ちは焦りますが、暗闇の中を初めて歩くルートは岩だらけで、なかなかペースは上がらない。
7月中旬ですが、これから登る油坂の急斜面には残雪がありました。しかも、こともあろうにアイゼンを忘れてきてしまったのだ。来る途中車の中で思い出したのだが後の祭り。安全に砂防新道を下る手もあったが、前日に御前峰登頂をあきらめた関係上、別山ピークハントは意地でも外せません。
前日小屋のスタッフに聞いてみると ”キックステップで大丈夫” とのことだったので、計画通り歩いて雪渓にたどり着きました。
前日小屋のスタッフに聞いてみると ”キックステップで大丈夫” とのことだったので、計画通り歩いて雪渓にたどり着きました。
しかし凍ってはいないものの雪面は固く、強く蹴り込んでも僅かしかステップが刻めずペースが上がらない。滑落したらタダでは済まない斜度なので、ここは雪渓の縁の土の部分を歩かせてもらって通過。このあたりで陽が当たってきました。
振り返って見る御前峰。
誰かの落とし物、拾って帰ります。結局この後2つ拾うことに…
油坂を登り切ると御前峰から続く主稜線に到達します。まず雲に浮かぶ乗鞍岳が迎えてくれました。
これから向かう稜線に朝陽が当たる。
御嶽・乗鞍に、その北にはズラリと連なる北アルプスオールスターズ!咲き乱れる高山植物に囲まれて別山へと続く主稜線歩きはとにかく素晴らしいの一言!無理して来て良かったと思えるひとときです。
お花畑の中をチョロチョロするイワヒバリ、近づいてもなかなか逃げません。
天池です。
入れ替わり立ち替わり群生する花々に癒やされながら歩く快適な主稜線歩きは、観光・砂防新道とは別次元の素晴らしさでした。写真はシラビソの青い球果。
坂を登り切ったところに突然現れたハクサンコザクラの群生地、思わず、わあ~っ!と声が出てしまいました!
坂を登り切ったところに突然現れたハクサンコザクラの群生地、思わず、わあ~っ!と声が出てしまいました!
”ハクサン”の名を冠した植物は20種近くあるそうです。このコザクラは他の山にもありますが、本家本元だけに一段とかわいい!
ここで休憩を兼ねて朝食、サクラソウに囲まれて小屋のお弁当が美味しいです!
木曽御嶽山の右側は中央アルプス。一番探しやすい富士山が見当たりません。御嶽に隠れてしまっているのかな?
コバイケイソウ咲く斜面。
後方には三方崩山も見える。
クロユリは白山付近が分布の西限だそうです。
火口域から4キロの表示。すっかり忘れていましたが、白山は火山です!「噴火警戒レベル2」になると、ここから山頂へは近寄れません。
振り返ると御前峰。
ニッコウキスゲの大群落。
あそこが御舎利山への分岐地点、荷物をデポして別山をピストンします。
別山神社に着くと、入れ替わりにグループが出発していきました。かなりの重装備ですがこれも修行だそうです!
別山頂上、今回は良く晴れてくれました!
2年ぶりの別山。あの時はガスの中で御前峰は見えなかったけど、この日はこれ以上ないと言える程の快晴!でっかい白山を眺める事ができてリベンジを果たすことができました。
南側には美濃禅定道の尾根が連なる。別山平、三ノ峰、そして二ノ峰。
別山平と御手洗池。ニッコウキスゲの黄色い群生が確認できます、きっと今年は見事でしょう!
社の隣に咲くミヤマダイコンソウ、たしか2年前にも咲いていました。
御舎利山へ戻ります。別山で会ったグループがチブリ尾根を下り初めているところをアップで。
別山をピストンして御舎利山の分岐に戻ると、ちょうど賑やかな女性グループが南竜方面から登って来たところでした。年齢的にも皆さん先輩方だと思われる。聞いて驚いたが、昨日は市ノ瀬から別当出合まで車道を歩いて叱られたとおっしゃる。誰かに聞いて勧められたというが… 帰りは私たちと同じチブリ尾根を下る予定だとのことでした。
御舎利山から振り返る別山。会話を交わした女性グループが向かっている姿が見える。
御舎利山から振り返る別山。会話を交わした女性グループが向かっている姿が見える。
御舎利山(おしゃりやま)の頂上は、御前峰と別山を眺めるのに絶好の展望台で、十分展望を楽しんだらチブリ尾根を市ノ瀬へ向かって長い下りに入ります。しばらくは雄大な御前峰を見ながら歩けます。この尾根歩きも展望が素晴らしかった!
槍・穂高連峰の前に水平な壁が写っていますが、気象現象のひとつでしょうか?
いよいよチブリ尾根を下ります。遙か下方に避難小屋の赤屋根が見えています。”チブリ”は”千振”と書くそうですが、秋にセンブリが咲くのでしょうか?
真下にずっと避難小屋が見えているのだが、行けども行けどもなかなか着かない。すでにお陽さまが高く照りつけ暑くなって来ました。途中休憩を終えて歩き始めた時、ピリッ!と「くるぶし」の後側に痛みが走った。その時はあまり気にしなかったのだが、後で大変なことに…
小屋の直前まで降りて来ました。一旦登ります。
ようやく到着したチブリ尾根避難小屋。
小屋で内で休憩。トイレ(くみ取り式)も完備。
小屋から見上げる御前峰と、
御舎利山(左)に別山谷を挟んで右に別山。
途中池の脇を通過しますが、水面は花粉?のようなもので白くなっています。どこかナスカの地上絵を連想する模様は、池で溺れた蛾がもがいた跡らしい。
開放的な尾根道です。
オオバギボウシが群生する斜面をどんどん下ります。
樹林帯に入った頃には痛みが増してグッとペースが落ちてしまう。やがて後方からカウベルの音と共に賑やかなグループが追いついてきました。御舎利山の分岐で会話したあの女性達だ。
「もっと速いと思ったのに、どうしてこんなにゆっくり?」と言われてしまう。「これが私達のペースなんで…」と返すが、追いつかれるとは思っていなかったので、内心ちょっと悔しい。しばらく負けん気を出して後を追うが、皆さん山慣れしていてかなりの健脚だとすぐ理解できた。なるほど追い抜かされる訳だ…(^^;
長い長い尾根歩きが終わり、ようやく登山口に着きました。痛みは増してさらなるペースダウンを余儀なくされましたが、とにかく歩かなくては帰れないので必死でした。
ただし、ここから市ノ瀬まではまだ1.5キロほど歩かなくてはいけません。
ダンプカーにハイカーの存在を伝えるスイッチ。長押ししてから渡ります。
虎ロープで区切られた登山者用歩道を行きます。
ロープの上に等間隔に留まる赤トンボ。アキアカネか?ナツアカネか?盛夏はこうして山へ涼みにきています。
堰堤の浚渫工事中なのかな?
車道を歩いて、
何とか無事市ノ瀬に到着しました。樹の下に駐めた理由、分かりますよね^^
私達にとっては厳しい気候と距離でしたが、なかなか思い出深い山行きとなりました。広大な白山にはまだ知らないことだらけ、これからも少しずつ思い出を増やしていこうと思っています。
白峰温泉総湯で汗を流した後は、お向かいにある「菜さい」の堅豆腐カツ定食、なかなか美味しかったです。
お土産に購入したガーゼ手ぬぐい、白山開山1300年記念のもの。クロユリがモチーフにされています。
【備忘録】南竜山荘の宿泊代。下の領収書は一人あたりの金額。
・白峰温泉総湯→http://www.shiramine-m.com/
・白峰特産品販売施設「菜さい」→http://www.shiramine-m.com/saisai/
タグ:愛知県外の山
花の白山いいですね。初日の出遅れで山頂は断念されたようですがいろんな花や景観、歩きを楽しまれて充実の山行であった察します。こちらからは遠い山ですが登りたい山です。
by Jetstream (2018-07-30 18:39)
こんばんはJetstreamさん
スタートの遅れと暑さの為山頂はあきらめましたが、多くの花と絶景を楽しむことが出来て良かったです。高山植物の種類自体は立山連峰に比べると少ないそうですが、群生が多いのが白山の特徴だと言うことです。
山のレパートリーは少ないteppanですが、毎年1回は白山を歩こうと思っています。何度歩いても素敵な山ですね。
by teppan (2018-07-30 21:00)