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白山と別山の植物【備忘録】2018/7/18~19 [植物]
2018年7月18日~7月19日にかけて歩いた、加賀白山と別山で見かけた高山植物の写真備忘録です。
御前峰から別山へ続く稜線上にあるハクサンコザクラのお花畑。
7月に歩いた際に見かけた植物をコースごとに表示。各写真はクリックすると少し拡大します。名前と備考はそれぞれ左から(上から)順になっています。同定や説明が間違っているものもあると思いますので、ご注意下さい。自身の今後の参考として、随時加筆・訂正していく予定。
※白山周辺には約300種類の植物があるそうです。今回写真を撮り損ねたりピンボケだったりで、一般的なものでも載せていない種類が多くあります。
※白山周辺には約300種類の植物があるそうです。今回写真を撮り損ねたりピンボケだったりで、一般的なものでも載せていない種類が多くあります。
※白山には和名に”ハクサン”の名を冠したものが18種類、別名で白山に因む名の植物を加えると30種類あるそうです。(以下20種をリストにしておきます。)
オヤマリンドウ、ゴゼンタチバナ、ハクサンアザミ、ハクサンイチゲ、ハクサンイチゴツナギ、ハクサンオオバコ、ハクサンオミナエシ、ハクサンカニコウモリ、ハクサンカメバヒキオコシ、ハクサンコザクラ、ハクサンサイコ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンシャジン、ハクサンスゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンチドリ、ハクサントリカブト、ハクサンハタザオ、ハクサンフウロ、ハクサンボウフウ
これらの中には白山固有の植物というものはないそうです。
参考書「白山花ガイド」2006年改訂版 栂 典雅著 (株)橋本確文堂発行
【市ノ瀬~別当坂出合(白山禅定道)】
・セリバオウレン:(芹葉黄蓮:果実):この草の根茎を乾燥させたのが生薬の”黄蓮”で整腸作用がある。葉がセリに似ていることから。
・サンカヨウ(山荷葉:果実):蓮の葉を漢名で”荷葉”と呼ぶそうですが、蓮に似た葉を付け山に生えることから。果実は食べられる。白い花弁は濡れるとガラス細工の様に透き通る事で知られる。
・セリバオウレン:(芹葉黄蓮:果実):この草の根茎を乾燥させたのが生薬の”黄蓮”で整腸作用がある。葉がセリに似ていることから。
・サンカヨウ(山荷葉:果実):蓮の葉を漢名で”荷葉”と呼ぶそうですが、蓮に似た葉を付け山に生えることから。果実は食べられる。白い花弁は濡れるとガラス細工の様に透き通る事で知られる。
・ホツツジ(穂躑躅):花が穂状に付くのが名の由来。ミヤマホツツジは雌しべが上に反り返る。有毒。
・ヤマツツジ(山躑躅):分布域が最も広く日本のツツジの代表種。
・イワハゼ(岩黄櫨:果実):実が赤いのでアカモノとも呼ばれる。食べられる。
・ギンリョウソウ(銀竜草):ほかの菌類から養分を得ている。欧米ではGhost plantとか Indian pipeと呼ぶそう。
・クガイソウ(九蓋草):輪生する葉が階層になっていることから。
・ヒヨドリバナ(鵯花):ヒヨドリが鳴く頃に咲くことから。
・イブキジャコウソウ(伊吹麝香草):日本に自生する唯一のタイム、葉を揉むと良い香りがする。
・ミヤマトウキ(深山当帰):”当帰”は生薬の一種。全草セロリに似た香りがあるそうです。
・シナノオトギリ(信濃弟切):秘密にしていたこの薬草(鷹の外傷薬)の事を外部に漏らした弟を切ったという謂われによる。葉の表面と縁に小さな黒点がある。(写真参照)イワオトギリとの区別は難しい。
・ゴゼンタチバナ:和名は白山の最高峰「御前峰」にちなんだものだそうです。真っ赤な実が付いて、緑の葉とのコントラストが美しい。葉が6枚以上にならないと花が咲かないそうですが、個体差がある。白いのは花弁ではなく苞片で、花は中央に集まっている。実は食べられる。
・ユキザサ(雪笹:果実):この後実が真っ赤になる。花が白く、葉が笹に似ていることから。
・クモマニガナ(雲間苦菜):雲間は高い山を意味する。タカネニガナは葉が茎を抱かない事で区別。
【別当坂出合~黒ボコ岩(観光新道)】
・シモツケソウ(下野草):シモツケ(木本種)の名は、最初に下野国(現在の栃木県)で発見されたことによる。花がそっくりで草本なのが本種。両方同じ場所にも自生する。
・ヤマハハコ(山母子):春の七草のハハコグサに似ていることから。中心の黄色い部分が花。ハハコグサの名の由来は良く分からない。
・ヨツバヒヨドリ(四葉鵯):ヒヨドリバナの仲間で葉が3~4枚輪生する。
・ミヤマシシウド(深山猪独活:開花直前):山で見かけるセリ科の植物の中でも特別背が高く大きい。
・ナナカマド(種類不明)
・ハクサンオミナエシ(白山女郎花):岩の間から横に花茎を伸ばしていました。
・ハクサンフウロ(白山風露):東北~中部地方(伊吹山にもあり)の亜高山帯~高山帯に分布。母種はエゾフウロとのことですが区別は難しい。
・タカネナデシコ(高嶺撫子):花弁の先端が細かく裂けるが、シナノナデシコは細かく裂けない。
・イワオウギ(岩黄蓍):”黄蓍”は中国・韓国に自生するキバナオウギの根を乾燥させた生薬。
・ヨツバシオガマ(四葉塩竈):鳥のくちばしの様に尖った上唇片が特徴的。”塩竃”とは塩を作る釜の事だそうですが、名前との関わりには深い意味がありそうです。
・ゼンテイカ(禅庭花):ニッコウキスゲの名が一般的。カサスゲ(菅笠の材料)に似た葉で、日光霧降高原の群生地で知られ、黄色い花が咲く事から。
・ハクサンタイゲキ(白山大戟):”大戟”は生薬の一種でトウダイグサ科の植物の根だそうです。本種は子房に毛が生えているのが特徴だそう。”トウダイ”とは海岸にある”灯台”ではなくて、照明に使う”灯台”のこと。茎や葉を切ると出る白い汁はカブレるそうです。
・テガタチドリ(手形千鳥):根っこが手を広げた様な形だという事ですが、さすがに確かめられませんね。
・イブキトラノオ(伊吹虎ノ尾):亜高山帯~高山帯にかけ良く見かける花。
・ハクサンシャジン(白山沙参) ”沙参”は生薬で、ツリガネニンジンなどキキョウ科近縁の植物の根で咳止め薬。白山にあったのでハクサンシャジンとしましたが、ツリガネニンジンとの区別は難しいそうです。
・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花):黄色い花弁は光沢があり、葉が深く細く切れ込む。高山でよく見かける黄色い花は種類が多く同定に苦労します。
・ヤマブキショウマ(山吹升麻):ショウマと付くがバラ科。葉の側脈がハッキリして葉縁まで届く点が、アカショウマやトリアシショウマとの区別点。”升麻”とは生薬のひとつで、サラシナショウマの根のことだそうです。
・カライトソウ(唐糸草):種小名の「hakusanensis」は白山を意味するそうです。花穂の先から順に咲いていく。
・ミヤマダイモンジソウ(深山大文字草):花の形を”大”の字に見立てたもの。ダイモンジソウとは花の大きさが違うそうですが、比べた事がないので良く分かりません。
・オタカラコウ(雄宝香):”宝香”とは防虫剤にする竜脳香のことで、匂いが似ていることから。よく似た草に舌状花の枚数が少ないメタカラコウがある。
・ミヤマオトコヨモギ(深山男蓬):オトコヨモギは漢名の”牡蒿”を和訳したもの。”牡蒿”の名は、種子が小さ過ぎて無いと勘違いして”牡”と付けたからとの事。
・タカネマツムシソウ(高嶺松虫草):マツムシソウより草丈が低く花径が大きいそうですが、区別は難しい。
・シナノキンバイ(信濃金梅):梅の花に似た形で鮮やかな黄色であることから。花びらに見えるのは萼で、中央の花弁は雄しべより短い。
・クルマユリ(車百合):葉が車輪の様に輪生することから。花径約5センチと小さい。
・コバイケイソウ(小梅蕙草):花が無いとバイケイソウと区別できない。バイケイソウの名は、花が梅に、葉が蕙蘭(シンビジュウムの一種)に似ているからだそうです。(名付けの際の蕙蘭とは、シランの事を指していたとのことです)有毒。
【黒ボコ岩~砂防新道~南竜道分岐~南竜ヶ馬場】
・ミソガワソウ(味噌川草):木曽川の支流の味噌川に多く自生することから。葉を揉むと独特の臭気があるそうですが、確認したことはありません。
・ヤマガラシ(山芥子):香辛料を作るカラシナに似ていることから。
・ミソガワソウ(味噌川草):木曽川の支流の味噌川に多く自生することから。葉を揉むと独特の臭気があるそうですが、確認したことはありません。
・ヤマガラシ(山芥子):香辛料を作るカラシナに似ていることから。
【南竜ヶ馬場~別山】
・ミヤマカラマツ(深山唐松):花糸がやや紫色を帯び、カラマツソウやモミジカラマツとは葉の形が違う。
・ヤマブキショウマ(山吹升麻):前出に同じ
・バイケイソウ(梅蕙草):コバイケイソウの項と同様。花茎は人の身長ほどに高く伸びる。
・ミヤマホツツジ(深山穂躑躅):ホツツジの雌しべはほぼ水平に伸びるが、本種は像が鼻を持ち上げたように反る。
・シナノオトギリ(信濃弟切):前出に同じ。
・ウラジロナナカマド(裏白七竈):七度かまどに入れても燃え残るからこの名になったそうですが、実際には良く燃え良質の薪になるそうです。葉の表は光沢が無く、裏は白っぽい。鋸歯がある。
・ハクサンシャクナゲ(白山石楠花):あまり深く調べず、亜高山帯で見かける白っぽいシャクナゲは、皆ハクサンシャクナゲとしています。ホンシャクナゲやアズマシャクナゲは、葉の裏が褐色をしていることで区別できる様です。
・クルマユリ(車百合:裏側):前出に同じ。写真はまだ花弁が強く反り返る前の状態。
・ハクサンイチゲ(白山一華):白い部分は花弁ではなく萼片だそう。”一華”は一輪咲きのことですが、本種は散形花序で当てはまらない。中部~東北の亜高山~高山帯に分布。
・コバイケイソウ(小梅蕙草):前出に同じ。白山エコーライン周辺や、別山周辺に群生している。
・イワカガミ(岩鏡):岩場に生え、葉の表面に光沢があることから。コイワカガミやオオイワカガミなどの種類分けがあるが、DNA的には違いがないそうです。分布は山地~高山帯まで幅広く、自生地の環境によって大きさや形が変異しているのではないかと思われる、とのこと。花が無いとイワウチワと区別しにくいが、葉柄の部分の心形の有無で見分けるそうです。イワカガミは心形(心臓の形)。
・ミヤマクロユリ(深山黒百合):中部地方以北の高山帯に自生する。白山周辺が分布の西限とのこと。写真は別山付近で撮ったものですが、室堂周辺やお花松原に多い。北海道に自生するエゾクロユリとは染色体数が違うそうです。雄花と両性花がある。石川県の花に指定されている。昨年エコーラインで白花(黄緑)を見かけました。花の香りは使い古した雑巾みたいな感じ^^;
・ハクサンフウロ(白山風露):前出に同じ。
・ミヤマダイコンソウ(深山大根草):葉が大根に似ることから名付けられたダイコンソウの高山型。でも全然似てないと思います・・・ 黄色い梅形の花が咲く高山植物は種類が多く同定に悩みます。ダイコンソウはバラ科でミヤマキンバイと同じくイチゴに似た感じの葉。本種は羽状複葉だそうですが、パッと見単葉に見える。よく似た黄色い花を咲かせるキンポウゲ科の種は、葉の形状が同じ科のトリカブトに似る。
・ヨツバシオガマ(四葉塩竈):前出に同じ。
【御舎利山~市ノ瀬(チブリ尾根)】
・ツマトリソウ(褄取草):花弁に淡い紅色の縁があり、鎧の威色目(おどしいろめ)の一つである褄取威に似ていることから。
参考HP(綺陽装束研究所)→http://www.kariginu.jp/ 装束の知識と着方>色彩と色目>参考:鎧の威色目
・オオヒョウタンボク(大瓢箪木):花後に2つの真っ赤な実がくっついて瓢箪を連想させる事から。有毒。
・オガラバナ(麻幹花):”麻幹:おがら”とは、皮を剥いだ麻の茎のことで、お盆の迎え火、送り火に使う材料。本種の材が似ていることから。カエデの仲間。
・サラサドウダン(更紗灯台or更紗満天星):赤いスジ模様が”更紗染め”の模様を連想させる事と、”ドウダン”は”灯台”の意味で、油皿を乗せる結び灯台に枝の出方が似ているところから。
・ハリブキ(針蕗):葉や枝に刺がたくさんある。真っ赤な実が穂状に付く。
・ヤマハハコ(山母子):前出と同じ。チブリ尾根避難小屋の脇に咲いていました。
・オオバギボウシ(大葉擬宝珠):”擬宝珠:ぎぼし”とは、橋の欄干に付ける葱坊主の様な装飾のこと。若芽はウルイと言う山菜で食べられるが、バイケイソウの若芽を本種と間違えて食べ、中毒を起こすことで知られる。山地~亜高山帯まで分布。
さすがハクサン、花の宝庫ですね。
白山の花のチェックに役立ちそうですね。!(^^)!
by Jetstream (2018-08-02 21:31)
こんにちはJetstreamさん
白山は高山植物の種類自体は立山連峰などに比べると少ないそうですが、やはり花の数は多いそうで、各種植物の群生が見られます。
”ハクサン”の名が付く植物が多いのは、独立峰で大昔から存在を良く知られていたことで、早くから人が入っていたからではないかとの事です。
積雪の多い山はどこも花が多くて素晴らしいですね、高山帯を持つ山で最も西にある白山は、植物の研究に関しても大きな意議を持つ様です。
by teppan (2018-08-03 17:48)