天狗棚 ブナ原生林の草花講座 2014/5/15 [山歩き・ウォーキング]
とよた森林学校主催の講座に参加してきました。
ブナが生える林の中を、植物を観察しながら面ノ木園地へ
豊田森林組合が行っている全3回の講座で、今日はその1回目。「ブナ林の草花いろいろ」ということで、愛知県内で唯一ブナの原生林が残っている豊田市稲武町の面ノ木峠周辺及び天狗棚で開かれました。
里山は春から初夏にかけてが一番花が多い季節。草花の知識があれば、山歩きがもっと充実すると思ってこの講座を申し込みました。 山の草花なら少しは知ってるつもりでしたが、何度か歩いたことのある天狗棚ですら知らない花がいっぱいあって驚きました。これまでは気づかず通り過ぎていただけだったんですね。
バスに乗って現地へ。森林インストラクター・北岡さんの説明を聞きながら散策路を歩きました。
今回の講座で説明を聞いた植物を一部紹介しておきます。
「スルガテンナンショウ:駿河天南星」
サトイモ、コンニャクなどと同じサトイモ科。
俗称「マムシグサ」。花茎の模様がマムシの柄に似ているからだそうです。自分はこちらが本当の名前だと思ってました^^;
なんと性転換をする植物だそうです!球茎が貧弱なうちは雄性。大きくなると雌性になり、開花して体力が無くなってくるとまた雄性に変わる。人間もこの草のように簡単に性転換出来たとしたら、世の中どうなっちゃうでしょうね? ^^
この種は日本では近畿地方に多い「ムロウテンナンショウ」と、ここ中部地方に多い「スルガテンナンショウ」の2種類だけだそうで、その見分け方は筒(仏炎苞:ぶつえんほう)の中にある付属体の形。丸くて大きい(写真左)のがスルガテンナンショウで、マッチ棒の頭みたいに小さいのがムロウテンナンショウだそうです。
※(訂正)日本には51種9亜種のテンナンショウ類があります。愛知県にはスルガテンナンショウが最も広く分布しており、本種はムロウテンナンショウの亜種に分類されている。 2014/5/17追記
また、受粉システムが実に良くできています。上写真右が雄花です。雄しべが苞の根元にあり、臭いに誘われて入ったキノコバエという虫が花粉を付けた後外に出られるように、苞の根元に穴が開いています。(赤丸の場所)
一方雌花に入ると穴は開いておらず、つるつるした苞の内部から出られず受粉を確実にするという巧妙なシステム。
興味深い植物ですね!苞の形が「ウツボカズラ」に似ているので、てっきり食虫植物だとばかり思っていましたが違ったんですね~ 実や球茎には毒があり、シカなどの食害を受けにくく増加傾向にあるそうです。毒があるんですが「救荒植物」の一つで、飢饉の際に良く水でさらしてデンプンを取り出して食べたそうです。この辺はヒガンバナと同じです。
「ミヤマエンレイソウ:深山延齢草」
ショウジョウバカマやバイケイソウと同じシュロソウ科。エンレイソウの仲間は日本には3種類あるそうです。
3枚の葉の真ん中に花茎が伸びて花が咲いています。葉・花弁・ガク・雄しべ・雌しべの全てが3っつ、または3の倍数になっているのが特徴。ラテン語で「Trillum:トリリウム:3のユリ」と呼ぶそうです。植物の造形ってホント面白い!
「イヌブナ:犬ぶな」
ブナの仲間で比較的標高の低い、暖かい場所に自生するそうです。この季節には鮮やかな黄緑色をした新葉がとても美い。
ブナとイヌブナの区別は葉の裏側にヒントが… 葉脈に産毛が生えているのが判りますか?生えていればイヌブナ。あと、側脈の数がブナより多いです。若葉を触ると柔らか~い!
樹木の多くは葉縁の頂点(山の部分)に側脈がつながっていますが、ブナは図のように谷の部分でつながっているので葉の形が良いと講師が言っておられました。
この面ノ木のブナなんですが、昨年実がたくさん着く「大なり」の年だったそうで、芽吹いた幼木が見られるのがちょうど今頃なんだそうです。たくさんの芽吹きが見られるので今年の受講生は運が良いとのことです。
その芽吹いたばかりのブナがこちら!
双葉はアサガオみたいですね。
こちらは数年経ったブナ。成長が遅く、大きくなる前にほとんど消えてしまうそうです。
持参の弁当で昼食後、午後からは天狗棚へ向かいました。
二次林にはバイケイソウが。面ノ木周辺にもたくさんあるんですね。
「ウスギヨウラク:淡黄瓔珞」
ツツジ科 「瓔珞:ようらく」というのは、仏像の首や胸にかける飾りのこと。
この時期に花が咲く。蜜がある場所が奥にあるので、昆虫は吸蜜する為に花の横に穴をあけるそうです。実際穴の開いた花をいくつも見かけました。愕や花柄に付いている線毛には粘りのある液体が付いている。
これはリスの食卓。
「ミヤマシキミ:深山樒」
ミカン科 葉をちぎって匂いを嗅ぐとミカンのような香りがします。写真左が雄花で右が雌花。雌雄異株。
赤い実が成ります。有毒の常緑低木。
「メグスリノキ:目薬木」
カエデの仲間 ケバケバしている。実際に眼病予防に目薬として使えるそうです。カエデの特徴である対生葉になっています。
「チドリノキ:千鳥木」
これもカエデの仲間。 実に羽が付いていて、その形が千鳥の様だからこの名が付いたそうです。
いろいろな豆知識も教わりました。なかなか全部は覚えきれなかったですが備忘録にしておきます。
・新緑の季節に雑木林の山肌に見える、白っぽい(銀色)のはコナラ。
・タムシバ---新葉を噛んでみると甘い味がして疲労回復になる。(噛むシバ---タムシバ)
・クロモジ---枝は緑色に黒い文字がある様に見える。枝は折ると良い香りがして、茶室などの「鶯垣」や和菓子の楊枝に使う。
・ネコノメソウ---雨が降らないと子孫を増やすことができない。
・スミレの語源は、花の付け根にある「きょ」と呼ぶ部分が、大工さんが使う「墨入れ」に似ているから。
・日本のブナ林の特徴はツガやモミの木が混生していること。
・サクラ、ヤナギ、スミレは雑種が多い---日本の三大浮気植物と言われる。
・原生林に降る雨のうち、地面に直接到達するのは約50パーセント。
・タンナサワフタギ---ブナ林特有の木。幹が白く「ガイコツノキ」と呼ばれる。
・モミとツガの見分け方---モミは針葉の先端が2つに分かれる。ツガは針葉の長さが不揃いで、向きもバラバラ。
・フモトスミレの葉はシクラメンに似ている。
・キハダ---幹の皮を剥ぐと黄色。舐めると苦くて胃薬にもなる。
天狗棚山頂近くの原生林にあるブナの大木。ここ面ノ木原生林には樹齢400年近いブナがあるそうです。これだけ古い原生林が太平洋側残っているのはとても珍しく、同時にとても貴重な森だとのこと。「冷涼で湿潤な気候を好むブナは、ここ面ノ木ではやがて絶えてしまうでしょう」と講師は言っておられました。
今回見かけた植物の写真を下記にリンクしてあります。興味のある方は名前をクリックしてみてください。
タニギキョウ コミネカエデ ツクバネソウ フモトスミレ トウゴクミツバツツジ ネコノメソウ
キランソウ ユキザサ ヤマウツボ ミヤマセントウソウ ミヤマハコベ クロモジ
(備忘録)ニシキゴロモ-キランソウ属、キランソウ-ジゴクノカマノフタ-薬草
(*^・ェ・)ノ コンチャ♪
(ノ゚ο゚)ノ オオォォォ-こういう会は良いですね~
いつも「何だろうね~ キレイだね~ かわいいね~」だけで、何だかわからないまま通り過ぎているので、こういう機会に色々見て触って覚えられるのは良いですね^^b
このブログで私も勉強させて頂きます^^b
by 水鵬 (2014-05-17 18:02)
こんばんは。
コレは良い催し物ですねぇ~私も参加したい!!
山で作業してると、聞かれるんですよねぇ...答えられない場合がほとんで。
スルガテンナンショウ=マムシグサなんですねぇ、初めて知りました。
ウスギヨウラクは先回の岩岳で見掛けて事務局さんと、コレ何だろうねぇって言い合っていた物です。
岩岳の山頂で雨に降られ、下山を近くの林道に出てクルマに戻るか迷った時、雨で濡れるからと来た道を選びました。森の中の地面付近では雨は半分になるとすれば、あながち間違っては無かったんですね。
by げんた (2014-05-17 21:17)
水鵬さん>こんばんは
市の広報を見ていたら、たまたまこの講座があり、木曜開催だったので申し込みました。専門的な知識のある講師に解説してもらうと、ついでに雑学が覚えられるのがいいです。ネットでも調べられますが、大きさや香りや触感や味などは実物に現物に触れながら教えてもらわなければ解らないことがありますから、こういった講座は為になりますね。
by teppan (2014-05-17 22:20)
げんたさん>こんばんは!
この講座、なかなか良いですよ。今年で3回目。定員20名ですが、応募者が多く毎回抽選。初めての人を優先的に選ぶみたいで、それで今回自分も参加できたみたいです。なんと常滑から来ている人も居ました。
どうせ山を歩くなら、草花や樹木のことを知ってる方が楽しいですよね。
他にも色々講座があるので、参考までに覗いてみてはいかが?
http://woodytoyota.net/gakkou/1_kouza.html
by teppan (2014-05-17 22:34)