山歩きと保険 [山歩き・ウォーキング]
学生時代に初めて穂高へ登った時から中年となった現在まで、私は山岳保険とか登山事故担保の傷害保険などに加入したことは一度もありませんでした。ところがこの頃何らかの保険に加入しようと考えるようになってきたのです。
最近山歩きをしていて感じるのが体力の衰え。筋力や持久力はもちろん、特に感じるのが「手足や腰・首などの関節が若い頃のようには、もはや機能しない」ということ。無理が利かなくなったのです。そして、それは山歩きでの遭難の可能性がより高くなってきたと言うことに他ならない。
若い頃は(荷物が重かったせいもありますが)ペース配分が下手だったので登りで無理してバテることはありましたが、走るように下っていたことを覚えています。今では登りでバテない反面、荷物は軽い(日帰り中心)のに下りはずいぶんスローペースになってしまいました。身体のあちこちの柔軟性がなくなり、足も高く上がらなくなった。時々トレイルランニング中の人達とすれ違ったりしますが、そのペースには驚かされます。
今年、山の事故では北海道トムラウシでのツアー客遭難や穂高の救助ヘリコプター墜落などのニュースが大きく報道されましたが、実は有名な山岳地帯だけではなく、全国各地の里山でも遭難が起こっているという事実があるのです。(そういえばクレヨンしんちゃんの作者・臼井儀人さんも山で亡くなられました。)
警察庁のHPで公開されている「平成20年度中における山岳遭難の状況」によると
山に行った目的別では
1位 登山(岩・沢登り・山スキー含む) 約67パーセント
2位 山菜・茸取り 約22パーセント この2つで大半を占める
遭難原因は
1位 道迷い 約40パーセント
2位 滑落 約18パーセント
3位 転倒 約14パーセント
総遭難者数 1,933名 (内:無事945名、負傷698名、死亡・行方不明281名) 遭難者中約半数近くの方はケガもなく無事だった。
遭難者のうち80パーセント以上が40歳以上の中高年者。(しかも大部分が55歳以上の人で実に全体の64パーセント) もちろん死者・行方不明者もほとんどが中高年者なのです。増え続けてきた登山人口も最近減少傾向になってきているそうですが、割合では若い登山者が減少し、中高年の登山者がものすごく増えて来たことがこの統計にも表れています。(登山人口の約65~70パーセントが中高年)
ところで、報道を見ていると海や川での遭難事故に対して、山で遭難事故を起こした当事者への風当たりは一段と強いような気がします。「好き勝手に山なんか登って他人に迷惑をかけやがって!」という言葉をよく耳にします。捜索にかかった労力は同程度でもやはり山で起こるとけげんな顔をする人が多い。この違いは何なんでしょうか? 「辛い思いをしてまで山に登る人の気が知れない」というのが大多数を代弁している気がします。海や川へ行くのと違って山頂へは簡単に行くことが出来ませんから理解されにくいのでしょう。
こういった日本の風潮の中、「好き勝手で」 山歩きをしている不良中年の私は、まだ当分やめるつもりはないし理解されなくてもかまわない。でも、自身の怪我に関する治療費はともかく、遭難した場合の捜索費用支払いのため家族や親族に金銭的迷惑はかけられない。そこでネットで色々調べた結果「レスキュー費用保険」に加入することにしました。
登山に限らずウインタースポーツや山菜・茸取り、渓流釣り、写真撮影、自然動物に襲われたりした場合でも、警察が遭難と認定すれば年間保険料5,000円で最高300万円までの捜索・救助費用をカバーしてくれる。ただし海での事故は除かれ、免責(自己負担)3万円。それと保険金が満額支払われた時点で契約は終了します。
山岳保険は死亡保険金や治療費とセットで加入するものがほとんどなので年間保険料がとても高い。その割に捜索費用の上限が150万円程度。損保の傷害保険も救援費用の特約が付けられてもアイゼンを使った登山や高山病などは保証されないものばかり。それに比べて自身の補償はないが捜索・救助費用に特化したこの保険は明快で捜索費用の補償が大きいし、しかも年齢にも制約はありません。そしてなにより保険料が安くて加入し易いのが選んだ理由です。
この保険会社は松本のある山岳クラブのメンバーが始め、ほとんどボランティアに近い状態で運営しているのだそうです。収益悪化により運営が危うくならないように願っています。 山歩きをなさっている皆さん、保険はどうされていますか?興味があるかたはパンフレットを取り寄せてみてはいかがでしょうか?
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