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熊が人を襲うとき [山歩き・ウォーキング]

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 山歩きを趣味とする人間にとって、熊という動物は意識せざるを得ない生き物です。会ってみたいけど襲われたくはない、もし熊と対峙することがあったら、いったいどういう行動をとれば最善なのでしょうか?


 山仲間からこんな本があると教えて頂き、図書館で借りて読んでみる機会がありましたのでご紹介します。
「熊が人を襲うとき」米田一彦著・つり人社 2017/5/1発行

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 サブタイトルに「事故はどのように起き、進行するのか。助かる方法とは?」とありますが、筆者が前書きで書いているのは、「正しいクマの襲われ方を一緒に学ぼう」というもの。筆者自身が熊に襲われた体験と、大正・昭和から現在に至るまでの、1993件に及ぶクマによる人身事故を調べ、どんな状況で襲われたのか?また、襲われても助かったのはどんな場合があったのかを羅列してある本です。


【クマの生態】
・6月に受精後、子宮内膜に着床せず成長が止まる「着床遅延」がある。越冬後に受精卵の成長が始まり冬ごもり中に出産する(2~3頭)
・行動範囲 雄熊100km 雌熊40Km
・黎明薄暮型の昼行性(夜も行動する)朝晩6時頃活動が高まり、12時前後は休み、13時に活動ピーク。真夜中は休んでいる。
※山歩きをする人間と行動時間が一致していることに注目です。

【事故の多い季節】
・6月は繁殖期で、10月は採食行動が高まる。死亡事故が多いのは、山菜採り・キノコ採りの季節 5月、6月、10月の順。
・子熊は2年間母親と行動、6月~7月「親離れ訓練中:狩り訓練」の親子熊は危険。
・同一の食料を同一の場所で大量に食べる性質(単一食)がある。1ヶ月間同じ場所に熊が集中して興奮状態で特に危険(竹の子の時期:チシマザサ=ネマガリタケの若芽)。6月は雄、雌、子熊のいずれも危険。

【攻撃】
・人が立った状態での熊の攻撃はまず頭部(頸部)へ来る。
・小熊の親離れ訓練中は、足への攻撃が多い。
・熊は複数の人を攻撃する時は動いている人を狙う。特に左右に動くものを発見する能力が高い。
・多人数の場合は交互にちょっかいを出せば、熊は的を絞れず有効である。
・平野部に出て来た熊は攻撃性が高まる。

【対処】
・熊と対峙したら、まず瞬時に「不動体制」をとる。左右に動くものに対しての動体視力は良く、前後方向の深視力は弱いので、木や電柱などに隠れながら後退して距離をおく。背中を向けて逃げるのはダメ!
・越冬中の雄熊と、出産のなかった雌熊は冬眠を妨害されると襲ってくる
・成獣の攻撃はほんの数秒で終わることがほとんど。首を両手で守り地面に伏せて腹部を守る。
・背負った荷物で背中を守る。
・熊の攻撃は爪で、牙は止めの一撃。「初撃の爪を頭部に受けない」「拘束されて噛まれない」ことが大事。

【クマと現代人】
 山菜採り、キノコ採りのレジャー化やリゾート地開発など、山間地域の社会を理解せず、土地の持つ多様性を感受したことがない人が山に入る様になり、クマと遭遇者の不可解な対応が増え、そこに不可解な行動をする「新世紀クマ」も増え、不可解な愛護精神を叫ぶ人が大増殖し、混乱に拍車をかける。

【登山中と記された事故例】
・ピッケルで叩いて追い払った
・ザックを振り回す
・ポンチョを広げると逃げた。(体を大きく見せる)

【その他】
・バイクの音を怖がる
・親子熊の「親離れ訓練中」は小熊が抱きついて離れず重傷化する。
・出会い頭が一番怖い
・ラジオは役に立たない。
・越冬中の熊に筆者が試したところ、低音は効果が無く、「チーン」という鋭い音に反応する。カウベルは効果がなさそう。
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 詳しい内容は本書をご覧いただきたいと思いますが、意外だったのは、
「死んだふりは有効」だということ、これは襲ってきた熊の状況にもよりますが、まず敵かどうかを確かめる攻撃なので、無抵抗なら去って行くという事例があったということです。でも親離れ訓練中の熊には通用しなそうですね。

 おしまいに、
著者は熊撃退スプレーは有効だと書いています。すごく高価なものなので実際に山歩きに携帯するかどうかは考えてしまいます。これは私が別の情報で知ったことですが、欧米では「発煙筒」が熊除けに効果があるというのが定説だそうです。最終的には逃げずに戦うしかないのかもしれませんが、一か八かの備えに発煙筒の携帯もありかもしれません。


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よしころん

我が家のクマ鈴はお鈴のように長く響くタイプなので、少しは交換ありますかねぇー( ̄▽ ̄)
山行日数約500日中5回クマと遭っていますので、100回に一回の確率です。
鉢合わせしないようさらに気をつけます!
by よしころん (2018-05-04 19:53) 

Jetstream

興味深く拝見、大変参考になりありがとうございました。クマに遭遇したことはありませんがホポロシリ岳と羅臼岳では強烈なクマ臭。あまりにも強烈なにおいでした。クマには気をうけたいものですね。
by Jetstream (2018-05-04 22:50) 

teppan

よしころんさん
100回に一回ですか、一般からするとかなり確率が高いですね。生息域に撮影フィールドが多いからでしょうか?私はまだ直に野生のクマさんを見たことがありません。会いたい気もありますが、鉢合わせだけは勘弁ですね(^^;
by teppan (2018-05-06 11:11) 

teppan

Jetstreamさん
クマ臭は経験無いですが、鹿ならあります。秋に伊吹山をナイトハイクした時です。斜面中からこちらを監視されている感じで気味悪かったですね。

咄嗟の場合に、より良く対処できる様になりたいものですが、こればかりはどうなるかは分かりません。突然出くわすのだけは避けたいですね。
by teppan (2018-05-06 11:16) 

よしころん

北ア、尾瀬、新潟、秋田、奥多摩…
鉢合わせ寸前だったのは秋田と奥多摩の2回。
あとは谷の向こう側だったり車からだったり。
私たちは平日山行が多いためだと思います。
人と全く会わないこともよくありますから。
山菜採りの人が突然藪のなかから出てきて、お互いクマかと驚いたということも1度ありました(笑)
先日はサルと会いました^^

佐渡は今回で5回目。本当に大好きなところです。
GWは残念でしたね。花山行だと確実に晴れてほしいところですもの。
私たちもふだんはGW前後に訪れているのですが、今年は早そうということでかなり前倒しで渡りました。(4/17~18)
いつも自家用車は新潟港に駐め、島は軽のレンタカーで回っています。
(車を載せるとフェリー代高いので)
予告編に記載しましたが佐渡にはフリーのキャンプ場が点在しています。
日帰り温泉もあります。食事だけ現地で美味しいものを食べて他は経費削減大作戦ってかんじです(笑)
佐渡にはクマもシカもいないのでどこもかしこも山野草だらけですよ~♪
teppanさん、来シーズンの楽しみですね♪
by よしころん (2018-05-06 20:52) 

teppan

こんにちは!よしころんさん

佐渡にはマもシカもいませんか、道理で野草がたくさんある訳ですね。
詳しい情報ありがとうございました。ぜひ参考にさせていただきます。

鉢合わせ寸前とは肝を冷やしましたね、冷やさないように願いたいものです。^^;
by teppan (2018-05-07 10:12) 

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