あなたの「山速度」は何キロ? [山歩き・ウォーキング]
こんにちは!今回は計画段階で山歩きの所要時間をどのように見積もるか?という内容です。
初めての山を歩こうとするとき、出発時間を決定するには予定のコースを歩くのにどのくらい時間が掛かるのかを調べなくてはなりません。「そんなのガイドブックに書いてあるじゃないか」と言われそうですが、山歩きをしている皆さんはどのように出発時間を決めていますか?
休日に「まだ歩いた事がないあの山へ行ってみよう!」と考えた。
では「何時に家を出て、何時頃に登山口を出発し、どのあたりでランチにして、何時頃麓に着くだろう? アフターで近くの温泉に入ったら帰りは何時頃になるかな?」とか、あらかじめ調べておかなくてはなりませんよね。
えっ!そんなの調べたことない?
まあそういう方はともかく、自分の場合はこうです。
(標高差1000m以内で無雪期、日帰りで初めて歩く山という設定)
・歩いてみたい山の決定
・歩いてみたいルートの決定
・パソコンソフト上で予定ルートの総沿面距離を割り出す
・総沿面距離を自分の平均速度「山速度」で割り、山歩き所要時間をはじき出す
・ガイドブックやネットで、休憩に適した場所や見どころ、アフターで寄りたい場所などを調べる
・登山口までのアプローチ時間をネットで調べる(マイカー・電車バス)
・朝食は自宅か?アプローチ途中飲食店で食べるのか?それとも車中で簡単に済ませるのか決める
・出発時間の決定
と…まあ、いつもこんな流れで机上計画しております。
さて、ここでキーになるのが「山速度」。 略して「山速:やまそく」 ^^;
GPSレシーバーで記録したトラックログから、自分のおおよその山歩き平均速度が割り出せるんです。もちろんルートの険しさや休憩時間の長さによって変わってくるんですが、この程度の山ならこのくらいってのが決まって来ます。
自分の場合、ごく一般的な里山で概ね2km/h。休憩時間が長かったり、長時間登山の場合や険しい山だと1.5km/hくらいです。これは登りも下りも休憩もランチもトイレの時間もすべて含まれた、登山口を出発してから帰還するまでの間の平均速度です。自分は体力が乏しいのに加えて、写真を撮るために度々立ち止まったり、植物を観察したりして歩きますが、それらも全て加味されています。
市販の山岳地図やガイドブックにはコースタイムが書かれていますよね。でもこれは個人差があるので万人に当てはめるのはかなり無理がある。ある人にとってはユルすぎるし、ある人にとってはキツすぎる。それと休憩時間が含まれていないので、実際にはその1.2~1.3倍はかかるんですが、それも計算に入れないといけません。
ときどき自慢げに「コースタイムより速かった!」とか、「遅れているから急がなきゃ!」とか耳にしますが、元々当てにならない参考値。そんなのに振り回されて歩くのはかえって危ない。
そこで「山速度」の出番。「自分の山歩き速度」さえ知っていれば、初めて歩く山でも自分の所要時間が割り出せる。いちいちガイドブックのコースタイムを電卓で合計したり、「この区間は標高差○○mだから何分割増」とか面倒なことは考えずに、ただ単純に総沿面距離を山速度で割れば簡単に全体の所要時間が解るんです。休憩も食事の時間も全て含まれていますから、そのまま実所要時間というわけ。
ただし、泊まりの山行きの場合や、アルプスや一部の山にある様なロープが必要な急峻なルートを通過する場合にはもっと細かな計算が必要です。また悪天候時や積雪があると状態によって大幅に時間が変動するので、これも単純には計算できませんね。それと強烈な藪漕ぎルートもダメ。
言わば「日帰り里山一般ルート無雪期ピークハント用」です。長っ!^^
では自分が実測した速度が山によってどのくらい違うのか参考までにご覧下さい。
何故かいきなり富士山です^^;
2年前に歩いた富士山、区間ごとの速度はどうだったでしょうか?(画像クリックで拡大表示)
googleの画像は雪の富士山ですけど、実際に歩いたのは夏場なのでお鉢に残雪があっただけでした。
数字は 沿面距離/標高差/所要時間/平均速度の順に並べてあります。
1)富士宮ルート 登り・新五合目~富士宮頂上 :5.1km/+1324m/5H33M/0.9km/h
2)富士宮頂上~剣ヶ峰 登り :0.4km/+66m/0H18M/1.3km/h
3)御殿場頂上~赤岩八合館 下り :1.6km/-411m/1H12M/1.3km/h
4)赤岩八合館~宝永山 下り :2.7km/-601m/1H04M/2.5km/h
6)大砂走り 下り :4.1km/-1153m/1H22M/3.0km/h
7)第一火口底~宝永山 登り :1.2km/+270m/1H01M/1.2km/h
1、斜度もキツく標高差もあり、0.9km/hとさすがに遅い。新六合目より先は山小屋に着く度に休憩しました。
2、剣ヶ峰も急斜面なんですが、しばらく休憩した後で距離も短かったので、意外に速い1.3km/h。
3、下りでも遅い。富士宮五合目から剣ヶ峰へ登り、お鉢周りを終えた後の急斜面だったので疲れていました。
4、小屋で一泊した後の元気いっぱいルンルン気分の下り。速いですね~
6、別の日に歩いたログ。走る様に下れる富士山名物コース。瞬間的には5km/hを越えます。
7、火山砂でズルズルの辛い急斜面。これも休憩後なので思ったより速い。
次は滋賀・岐阜県境にある伊吹山。もっとも一般的な「上野ルート」の日帰り往復登山です。(画像クリックで拡大表示)
数字は 沿面距離/標高差/所要時間/平均速度の順(全行程は標高差項目なし)
登りと下りで距離・標高差が違うのは計算区間に違いがある為です。
全行程 13.2km/7H02M/1.9km/h
登り全体 6.5km/+1147m/3H37M/1.8km/h
下り全体 5.6km/-1095m/2H30M/2.2km/h
このルートは一合目までの樹林帯がやや急、中盤緩くて5合目から上が一気に急斜面になります。
避難小屋から上のジグザグ急登部分は1.4km/hでした。
そして最後は地元の里山でホームマウンテン猿投山。猿投神社からの東海自然歩道往復ルート(画像クリックで拡大)
数字は 沿面距離/標高差/所要時間/平均速度の順(全行程は標高差項目なし)
全行程 10.8km/4H14M/2.5km/h
登り全体 5.7km/+475m/2H16M/2.5km/h
下り全体 5.2km/-467m/1H58M/2.6km/h
区間速度はいずれも登りで
駐車場~御門杉 緩い舗装路歩き区間 3.6km/h
御門杉~鳥居 山道・このコースで一番斜度がある区間 2.1km/h
鳥居~東の宮 一般的な山道 2.6km/h
東の宮~山頂 アップダウンの少ない山道 3.0km/h
こうしてみると、山によって違いはあるんですが、自分の場合往復(あるいは周回)全行程で平均速度2.0km/hで計算しておけば概ね大丈夫だと言えます。地形図で見てキツそうだったり、「今日は山頂で豪華ランチだ~」というときには平均速度を遅く調整(マイナス0.1~0.5の間で)すればOK。ちなみに平地を普通に歩いた場合のスピードは約4km/hだそうです。
ところで、予定ルートの距離を測るには、以前なら「キルビメーター」という道具で地形図をなぞったそうですが、今はフリーのパソコンソフト「カシミール」で簡単に求められます。最新版では「トラック作成」という項目もできました。地形図を表示させた状態でマウスでクリックしながら予定ルートをなぞるだけで簡単に沿面距離が得られます。 こうした作業をする過程でルートをある程度把握出来るのも良い点です。
沿面距離を計算させるには地図の他に「標高データ」も組み込まれている必要があります。自分は「山旅倶楽部」の標高データ付有料地図サービスを使っています。ソフト上で求めた沿面距離は標高データの精度により誤差が出ますが、それほど神経質になる必要はありません。自分的には十分実用的な精度で所要時間が出ています。
沿面距離でなく、平面距離でもだいたいの時間は出せます。その場合平均速度を0.2~0.3km/h程度遅くして計算すればOK。
自分の「山速」さえ解れば、ガイドブックにコースタイムが書いてなくても所要時間が出せるんです。
・体力のある人・・・速い 体力に自身のない人・・・遅い
・単独登山だと・・・速い グループ登山だと・・・遅い(人数が多いほど遅い)
・ピークハント目的・・・速い 草花鑑賞など、道草が多い登山・・・遅い
・荷物が軽い・・・速い 荷物が重い・・・遅い
・お天気が良い・・・速い 悪天候・・・遅い
・ランチは簡単に・・・速い ランチは豪勢に・・・遅い
上記のように体力や登山スタイル、また状況によって「山速」は違います。それと、平地を速く歩けるからといって「山速」も同様とは限りません。こればかりは実際に長い時間山を歩いてみなくては解りませんね。
この記事をご覧になったみなさん、一度自分の「山速」調べてみてください。
こんちわー。家でダラダラ(^。^;)。
「山歩きの所要時間」、いわれてみれば、
ガイドブックとかブログとか、“人頼み”でした。
でも、大体そういう案内は余裕を持って設定してあるので、
基本単独だしいろいろ道草くってもその時間内には収まる感じ。
あとは終バスとかのデッドラインさえ超えなければと。
こちら臆病者なんで、時間とか計画をきっちり決めて
おきたいほうだと思っていますが、反面、決め過ぎると、
想定内で済んでしまうと、ちょっともの足りないんですよね。
「思ったより早く着いてしまった、予定外で地図もないけど、
この先行ってみようか…」の“先”が、むしろおもしろい。
もちろん事前にいろいろ計画する楽しさもありますが、
現場ではある程度の不確定要素もほしいというか。
自分はギャンブルはやりませんが投資はやります、
それなりに“リスクテイカー”なのかもしれません。
teppanさんは理系ですか?理系だ文系だとかいう考え方は
古いかもしれませんが、こちら、数字は現実だと思うし
理屈大好き、でも感覚派の文系でしょうね。
たぶんいつか失敗するタイプ(^。^;)。
by teln (2014-07-18 14:58)
telnさん>こんばんは!
理系か文系か?一応理系専攻でしたが数学なんかまるでダメ^^;
そう見えないそうですが、実はテキトーな性格。道はどこかに繋がってる!ってね
踏み跡を見つけると、「何処へ出るんだろう?」ってワクワクして探検したいタイプ。
人が歩いていない場所を歩いてみたい派なんです。
標高の低い里山なら道があろうが無かろうが、歩ける斜面なら滅多に遭難なんてありませんし、
藪漕ぎもよくやってました。が…最近はあまり無茶しないことにしてます。
仮に山で遭難(動けない怪我等)してしまった場合、一番発見されにくいのもそこいらの里山。
メジャーな高山なら大抵誰か他に人が居るんですが、
マイナー低山の、しかも一般道から外れた場所では発見してもらう可能性は限りなく低い。
だから初めて歩く里山は調べてから出かけるようにしてます。
調べて行っても何かしらサプライズってのはあるもんですしね。
「山速」は便宜上で、「だいたい解ればOK」でといった感じで歩いてます。
by teppan (2014-07-18 16:54)
そうですね~ 私はやはり2km/hですね。 あと基準としては距離1kmに対し標高差200Mを基準にキツイや楽を考えます。(伊吹山が6kmで1100mなのでw)
最近は完全に草花鑑賞なので登る時間がどんどん遅くなっていますが、その分楽しさは倍増です。(*´∀`*)
本来は新しい山はちゃんと調べて登らなければいけないのですが、めんどくさがりなので・・・
そのかわり慎重派なので、何度か登って慣れてきてから新しい道を歩くようにしています。
無理はしないのです^^;
by 水鵬 (2014-07-19 13:28)
水鵬さん>こんばんは~
山速、速い人だと3~4km/hくらいになるんでしょうね!もうひたすら走るみたいな山歩きかな?
猿投山でマラソン大会みたいなのをやってるそうですが、聞くところによると、猿投神社から山頂まで、速い人だとなんと30分で登っちゃう。平均時速にするとなんと11.4km/h! すごいっすね~
ちなみに山歩きじゃないですけど、100mを10秒で駆け抜けたとすると、平均時速37km/h!
フルマラソンを約2時間で走ったとすると、平均時速20km/h!
人間もトップアスリートだとすごいスピードが出てるんですね~
by teppan (2014-07-19 19:57)