異色の山名 日本コバ 2015/4/16 [山歩き・ウォーキング]
「日本コバ」 一度聴いたら忘れられない、その印象的な名前に惹かれて以前から行ってみたかった山。ようやく歩いてきました。
藤川谷ルートの主、大カツラ (写真クリックで拡大表示)
場所・山行日 | 「日本コバ:にほんこば:934.15m」 2015/4/16(木) 滋賀県東近江市政所町・永源寺高野町 境 | ||
ルート | 如来堂・藤川谷登山口~山頂~衣掛山~川西登山口~如来堂登山口(周回) | ||
歩行距離 | 12.7Km(平面距離) | ||
最大標高差 | 630m(登山口約300m-山頂約930m) | ||
所要時間 | 07時間34分 06:48~14:22 (休憩・昼食時間含む) 実測ルート図はここをクリック! Google earth俯瞰図はこちら |
今回のレポートも写真が多くなってしまい、かなりスクロールが必要なのでご注意ください。最後にオマケも付いてます。^^;
如来堂バス停近くの藤川谷ルート登山口を出発。AM6:48
車はここの50メートル程先にあった川沿いの空き地に停めましたが、そこはまずかったようです。(後述)
階段を登るとすぐ登山届ポストがありました。今回はインターネットで届出済。滋賀県はパソコンや携帯で届出できるので便利です。
登山道脇の春日神社。今日の安全祈願をしておきました。AM7:01
最初の渡渉地点に着きました。前日までの雨で渡るのが躊躇われるほどの水量。う~ん困った… ストックは持ってきましたが、簡易滑り止めとか縄とかの類はありません。試しに石に足を置いてみるとツルツル滑る… 序盤で靴を濡らすと後がやっかいなので、仕方なく裸足で渡りました。4月とは言ってもツメテェ~(>_<) AM7:06
藤川谷ルートはこの後も渡渉が何度かあるので先が思いやられます…
1回目の渡渉でかなり時間をロス。気を取り直して左岸沿いにしっとりと濡れた道を進む。AM7:28
谷間に見えるのが、たぶん今日の目的地日本コバの山頂。
木々は芽吹きの季節を迎えています。これはシロモジかな?
谷間の高巻道は狭くて滑りやすい地点があるので油断は禁物。前方に見える支谷を横切ります。今日は誰にも会わないと思いきや、後方からハイカー二人が来て先に行ってもらいました。AM7:35
ここも支谷の横断地点。普段は涸れ沢なのかな?この所の雨のせいか水が流れていますね。AM7:41
登山道下に水しぶきが見えたので、ちょっと道草して小滝を見に行ってみました。AM7:53
この谷の主、カツラの大木。存在感ありますねえ!(冒頭写真の木)AM8:00
すぐに渡渉。水の勢いが強く、何処を渡ろうかあたりをウロウロ… ここは靴を脱がずに何とかクリア^^;
苔がタップリの岩が目立ってきました。鈴鹿山脈北中部の滋賀県側は日本海側の気候に近く、多湿で積雪が多いので苔もたくさん生えています。
杉の大木も所々に混ざっていて良い雰囲気の林が続きます。AM8:50
すでに標高は600メートルを超えていますが水量豊富な沢。豪快に流れ落ちています。そしてまたまた渡渉です!(写真クリックで拡大表示)
ストックは滅多に使いませんが、今日は渡渉を想定して持ってきました。こんな時はバランスを取るのに絶大な威力を発揮してくれます。AM8:56
まだ芽吹きの時期で明るい雑木林は良い雰囲気です。新緑も見てみたいけど、ヤマビルが出るのでその季節を歩くにはそれなりの準備と覚悟が要りますね。^^;
だんだん沢から高く遠ざかって、急斜面を横切りながらの道になってきました。斜面上方を見ると浮き石がゴロゴロしていて落ちて来そうで心配です。左の谷側は滑り落ちるとただでは済みそうにない斜度なので慎重に。
危険地帯を過ぎると今度は岩場が見えてきました。AM9:17
フィックスロープが垂れている石灰岩の岩場が10メートル以上続きます。ここの方が山腹道よりかえって安全。
岩場を登り切った所で左へルートを外れると「奇人の窟」と呼ばれる岩屋があります。AM9:22
パッと見、入口は狭そうですが…
難なく通過できる広さです。
降りてみると中はとても広~い! コウモリの住処らしいのですが一匹も居ませんでした。
鍾乳洞の石柱みたいなのもある!
再びルートに戻って少し登ると岩屋と山頂方向を示す立札。AM9:29
ここの東側にある崖は眺めが良いんですが、今日は残念ながら霞んでほとんど見えませんでした。見通しが良ければ竜ヶ岳が見えるはず。
ツチグリが地面に二つ
岩場を登り切った後は平らな山頂台地の周遊です。アセビがたくさん生えている緩やかな道を、一旦鞍部に下って登り返したところで分岐地点に出ました。AM9:45 ここが川西ルートへの分岐です。左の山頂方向へ進みます。
平坦な道を進んで下り切ると渡渉地点。まるでその辺の雑木林に居る様な錯覚が起きますが、ここが標高800メートルを超えている場所だとはとても思えませんね。AM9:52
再び渡渉。こちらの沢は結構な水量で流れています。AM9:54
流れを左手に見ながらどんどん進む。山頂部は複数の谷が入り組んだ台地になっており、この沢が一番太い本流です。
そして最後の渡渉。ここから谷の右岸沿いを登る。AM9:59
やがて水の流れも消え、写真の様な坂を登り切ったところが862mピークとの鞍部です。
鞍部から右に向きを変え、広々とした緩やかな斜面を登って行きます。
斜面にはこんな大木があったりします。淘汰されずに生き抜いた木の立派なこと!植林の杉には無い力強さを感じますね。
そして広々とした日本コバの山頂に到着! 北側に少し展望があるんですが、今日は霞んでしまってダメでした。 AM10:20-11:08
今日の山ごはん。今回は買ったばかりの山専ボトル500mlと、以前から持っていた900mlの2つを実地で比較してみました。詳細はまた後ほどアップする予定。
山頂のすぐ西に「松尾谷経由国民宿舎」と書かれた案内板が置いてあります。帰りは来た道へは戻らず、山頂部を時計回りに周回してみます。
歩きやすい尾根道を北西へ進む。
ここで尾根が二股に分かれます。間違えずに向かって左の尾根へ入る。AM11:23
松尾谷への分岐手前で右の谷に降りて源頭まで詰めていきました。
谷を登り詰めた所で植林の尾根になり、右へ進んで次の分岐近くに「日本コバあと2.5キロ」の案内板
すぐに分岐地点で、向かって左が永源寺尾根方向。今日は右の尾根へAM11:41
まだ新芽が出たばかりで、冬場と同じ様な明るい尾根を進みます。
緩やかに下って登り返したピーク手前に「日本コバあと3.0Km」の案内板が倒れていた。
すぐに「25」と表示のあるコンクリート杭が埋まった900mピークに着いて、ここが分岐地点。案内は無いのでこの杭が目印。AM11:56
ピークから南東方向に伸びる写真の尾根を下る。屈曲した松の木が目印。右側が自然林、左側が植林と、はっきりと分かれていますね。
ここまでのルートでイワカガミを良く見かけましたが、開花はまだでした。この尾根にあった個体にはツボミがありました。
山頂台地の縁をグルッと歩いて880mピークへの登り。ここも右と左で植生が半分に分かれてますね。
880mピークから一旦下って再び登り返したピーク。ここも標高880m。ブルーシートが落ちていました。PM0:21
ピークを越えて下ったところに案内板が見えて来た!
振り返って見たところ。ここが午前中に歩いた藤川谷-山頂ルートへの分岐地点です。PM0:24
どういたしまして!^^
往きの藤川谷ルートにもあった地点表示板。座標も書かれていますね。
「衣掛山」の表示があるピーク。山と言うより尾根道の通過点。
ピークを下るとすぐに分岐地点。左へ行くと大山谷林道に出て惟喬親王御陵に行ける様です。今日は真っ直ぐ下る。
下り始めて少しの間は溝道です。
この尾根で一番高い828mピークには南側を大きく巻くように道が付けられています。写真はピークから南に伸びる尾根を乗り越えて左へ下る地点。PM0:56
山腹のトラバース。写真では大したこと無さそうに見えますが、かなり急な斜面に細い道が付いているので注意が要ります。こういう場所でストックを使うのは危険です。使うなら2本まとめて両手で横にして持ち、山側にのみ突くようにしましょう。谷側には絶対に突かない事!
(万が一、谷側に突いた時に斜面が崩れでもしたら滑落する危険性があります。実際ストックに頼ったのが原因で滑落した事故もあるようです。ダブルストックは上手く使えば山歩きにはとても有効だと思いますが、危険もはらんでいます。)
これ、何だか解りますか?何の疑いもなく真っ直ぐ通り過ぎてしまったんですが、実は侵入禁止の意思表示で枝が置いてあったのです。ここは左へ尾根を外れて植林の山腹道へ入る地点だった… おそらく以前は案内板があったんでしょう。この先真っすぐに行っても方向は間違っていないんですが、かなり急な尾根なので迂回路があったのでした。PM1:31
迂回路を歩く。植林の山腹を、一回折り返して再び尾根に合流します。
尾根との合流地点です。谷側の急斜面にへばり付くように生えていた木。人間ならばすぐに谷底まで落ちてしまう様な場所です。必死に伸ばした根に、「絶対に生き延びてやるぞ!」と言う執念を感じますね。
あとは尾根を少し下って、今度は右の山腹に入ります。ジグザグ道をどんどん下ると政所町川西の集落に出ます。PM1:46
麓の集落に出たところ。案内板によると県の天然記念物に指定されている「茶樹」だそうです。何でも樹齢300年だとか、どの木がそうなのかなあ…PM1:59
集落の中を抜けて、
車道に出たら藤川谷の駐車スペースまでアスファルト道をひたすら歩きます。シダレザクラが綺麗でした。
政所霊園横を通過。PM2:10
道路沿いで変わった植物を見かけました。葉と花?が5個づつ着いています。帰ってネットで調べてみたら「ナツトウダイ」という草でした。3枚づつ着く「エンレイソウ」は知っていましたが、こんなの初めて見ました。
ここを右に行けば駐車スペースはすぐです。通行止めの虎柵が置いてありますが、特に道路が崩れた所も工事も無かったけどね…
そして駐車スペースに戻ってみるとトラックが…
道路反対側の空き地で作業中の人に怒られてしまいました。一応端っこに停めたんですが邪魔だったようです。頭上を見ると道路を横断する様に太いワイヤーとホイストみたいな物が設置されていました。伐採した木材を運び出す準備だったのかな? 参考にしたガイドブックやネットで見たレポートでも皆さんここに停めている様ですが、この時期はまずかったみたい。すみませんでしたm(__)m この時期藤川谷を行かれる方はご注意を!
(その名の由来は?)
「日本コバ」
一度聞いただけで印象に残る名前です。山名の由来は良くわからない…でも気になったのでネットで色々探ってみました。
Wikiにも載っていて、皆さん良くネットにアップされているのが「二本木場」とか「日本一の木場」というものです。「木場」というと東京都江東区にあった貯木場に由来する「新木場:シンキバ」を連想しますが、この場合の「木場:コバ」は
・製材用に切り出した木材を運び出す為の一時集積場
・炭焼きの為に集めた木の一時集積場
の意味合いの様です。
推測ですが、おそらく大昔はこの山にはスギやヒノキの天然林は無かったでしょうから、もっぱら炭焼き用の材料調達が主だったのではないかと思います。集積場は麓に運び出すのに都合の良い広い鞍部に造られ、杣人たちは当然その場所で休憩したでしょうから、「コバ」には「鞍部」とか「広場」とか「休憩場所」の意味合いが含まれていると思われます。
また、「木場」は焼畑農業と関係があるという説もあるようです。
荒起、荒久、新久、刈野、鹿野、狩野、木場、古庭、小場、荒巻、荒牧、荒蒔などが焼畑に関係する地名だそうです。この木場が付く地名は九州に多くあるそうですが、「九州地方には焼畑農業の痕跡が残っていないから違うのでは?」という意見もあるようです。
ちなみに焼畑には春焼きと夏焼きがあったそうです。私の地元に「夏焼城ヶ山」と言う山があるのですが、これはまさに焼畑農業を表している名称だったんですね。焼畑では4年間作物を作り、その後20~30年間休ませる。輪作には順番があり、焼いて一年目の作付にはソバを蒔く例が多かったそうです。
ということで、結局名前の由来に関して有力な手掛かりは見つけられませんでした。
「二本コバ」転じて「日本コバ」説は、「一本立てる=休憩する」場所が2カ所あるからという事だそうです。鈴鹿山脈の滋賀県側には2次林が多く、炭焼き窯跡もたくさんありますから、実際大きな集積場が2カ所あったのかもしれませんね。
「日本一のコバ」というのは、何か大袈裟な感じがしないでもないですね。でも、やはり私の地元愛知県の奥三河には、「日本ヶ塚山」という名の山があります。高山や百名山の無い愛知県にもこの様な名前を付けられた里山があるくらいですから、名前に日本が入ること自体不思議なことではなさそうですね。
記事 了
こんにちは~ 日本コパですか~ 私もこの名前が気になっているんですよw (*´∀`*) 車を停める場所は色々気にしますよね^^; 私も行った際は気をつけます。^^b
変わった名前だな~とは思っていましたが、山の名前にも歴史があるんですね~
by 水鵬 (2015-04-19 14:54)
水鵬さん>こんにちは
気になる名前ですよね~ 歩いても面白い山ですよ!
車の駐車場所は皆さん停めてる所だったんですが、
時期的なタイミングが悪かったようです。
by teppan (2015-04-19 16:49)