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【近江鈴鹿】イブネ・御在所岳・雨乞岳 前編 2019/10/16 [山歩き・ウォーキング]
夕暮れの琵琶湖と愛知川の流れ(東雨乞岳にて)
※このたびの台風19号災害でお亡くなりになられた方々のご冥福と、被災された皆様が一日も早く平常の生活に戻ることができますようにお祈り申し上げます。
場所・山行日 |
「タイジョウ:1061m:独標」「御在所岳:ございしょだけ:1209.41m:一等三角点」
「雨乞岳:あまごいだけ:1237.71m:三等三角点」「イブネ:1160m:独標」
滋賀県東近江市・甲賀市・三重県菰野町 境 2019年10月16日(水)~10月17日(木)
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ルート |
1日目:登山口~桜地蔵~避難小屋~タイジョウ~佐目峠~イブネ~小峠~地獄谷出合~御在所岳~御嶽大権現~沢谷峠~三人山~東雨乞岳~雨乞岳~杉峠~杉峠の頭~佐目峠~イブネ
2日目:イブネ~佐目峠~杉峠の頭~杉峠~蓮如上人旧跡~桜地蔵~登山口
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歩行距離 |
1日目:20.6/25.4Km(平面/沿面距離)
2日目: 8.6/10.4Km(平面/沿面距離)
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標高差 |
(1日目)
登山口 +630mタイジョウ +95mイブネ -420m神崎川 +205m地獄谷出合 +265m望湖台 -280mクラ谷道出合 +305m雨乞岳 -190m杉峠 +80m杉峠の頭 -50m佐目峠 +90mイブネ (2日目)
イブネ -120m杉峠 -370m蓮如上人旧跡 -250m登山口 |
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所要時間 | 1日目:15時間00分 04:03~19:03 1.4Km/h(テント設営1時間・休憩時間含む) 2日目:04時間16分 09:12~13:29 2.0Km/h(休憩時間含む) Google earth俯瞰図はこちら |
滋賀県東近江市が2015年に認定した「鈴鹿10座」、5年目となり随分歩く人が増えてきました。
県境・市境に位置する山が幾つかあり、三重県側からでも登頂可能ですが、東近江市にある登山口から歩く「真・鈴鹿10座」にチャレンジしてみました。今回一番遠い御在所岳を登頂して5年掛かりで10座完登達成できました。
※teppanのヤマレコレポートはこちらをクリック↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2064516.html
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甲津畑集落奥・鳴野橋手前の道路脇に駐車してスタート。AM3:56
林道を約2.5キロ・50分歩いて桜地蔵に到着、2日間の安全を祈願。
寒暖計の気温は7℃
桜地蔵から約300m程歩いた避難小屋手前、木の根元に置かれた案内板がタイジョウルートの入口です。広い林道を歩いて途中から右手の山道へ入りました。AM5:05
消防の地点表示は序盤に2つ見ただけ、たまに赤テープマーカーがあるだけでバリエーションルートの域です。谷沿いの作業道を登り、渡渉して急な尾根に取り付きました。初めてで暗かった事もあり、本来のルートはどこだか良く分かりませんでした。
滑り落ちそうな急斜面を登ると尾根筋がはっきりしてきました。テント泊用荷物の重量(約18kg)が堪えます。
標高約830m地点、登って来た尾根の頭です。ここからタイジョウまで支尾根歩き。AM6:39
山頂近くなると尾根が広くなってきた。
池の横を通ります。
ここがタイジョウの頂上。杉峠の頭から入道ヶ原へ続く尾根の途中にあるピークです。AM7:57
タイジョウまでのバリルートを一度歩いてみたくてこのルートを選択しましたが、イブネ分岐までヤセ尾根のアップダウンがキツくて参りました。写真は崩壊地の縁を歩く危険地帯、浸食が進んでいるようです。
崩壊地の上は視界が開けていて眺めが良いです。正面はどっしりとした銚子ヶ口。
斜度が緩んできたらイブネと杉峠の分岐地点は間もなくです。AM9:17
分岐を左に入り下って行くとイブネが見えて来ました。
佐目峠手前から後で向かう予定の御在所岳を眺める。
佐目峠のランドマーク。AM9:26
イブネの山頂標識。とは言っても、この山は台地状でかなり広いのでどこが最高点か特定は難しいです。
AM9:48
登って来た方向には大きな雨乞岳が見えます。
苔の少ない平らな場所を選んでテントを設営。必要な装備だけに軽量化して御在所岳と雨乞岳の周回に出発します。
実はこの時点で予定より約1時間遅れていました。周回してここに戻る予定ですが、まだ13kmほどあるので日没に間に合うかどうか微妙です。(実は忘れ物をして後で大変な事になってしまったのでした…)
苔の台地から眺める御在所岳と鎌ヶ岳。
イブネ北端に移動して、右に接続する尾根を下って小峠へ向かいます。
序盤は歩きやすい緩やかな尾根道です。
支尾根から少し外れた高昌山にも立ち寄ってみました。AM10:57
途中から尾根芯にアセビが繁り始めると、山腹を巻くように踏み跡が続くようになります。沢に出た所で左に曲がると、急な斜面に付いた危険な場所をトラバースする地点。転落したらタダでは済みません。
急降下して小峠に到着しました。AM11:36
フィックスロープを頼りに滑り落ちそうな急斜面を下ります。
V字谷を下降します。4年前に一度歩いていますが、その時に比べて難易度が増したような気がします。
神崎川に出ると緊張から解放されてホッ!とひといき。自然林に囲まれたこの沢は、鈴鹿の中でも素晴らしい雰囲気を持っています。もう半月もすると紅葉で綺麗でしょう。琵琶湖の水源、愛知川最上流域のひとつです。PM0:02
対岸へ渡渉します。
甲津畑から杉峠を越えて根の平峠へと続く「千草街道」に出る途中、大きな窯跡がありました。昔の鈴鹿の山は炭焼きが盛んだったのでしょう。
千草街道から上水晶谷に出て、再び渡渉します。PM0:20
まだ紅葉時期には早いですが、たまに真っ赤に色づいた木を見かけます。
上水晶谷を渡渉したらその上流へ続く道を登ります。基本谷沿いの道ですが、何度か渡渉があり分かりにくいルートです。テープを探しながらの登り。
神崎川の渡渉地点から約2キロ・1時間で地獄谷の出合に到着しました。ここからバリエーションルートで御在所岳へ登ります。PM1:00
御在所岳は花崗岩質の山で、奇岩巨岩が幾つもある面白い山です。ここ地獄谷にも幾つか写真の様な巨岩がありました。
左右に巻いたり谷中を歩いたり、適当に歩きやすい所を登ります。斜度も比較的緩いので特別な技術がなくても大丈夫。ただ、詰め近くになるとルートファインディングが必要なので、誰でもOKというわけにはいきません。初心者が歩く場合は熟練者との同行が条件です。
岩陰にひっそりと咲くダイモンジソウ。
8m滝に出ました。どう登ろうか考えるのも楽しさのひとつ。PM1:16
途中まで右岸を上り、左岸へ移ってクリアできました。
谷の中間地点は緩やかでした。流れも少ないので真ん中を行きます。
大岩
趣のある流れ。
こんな雨宿りができそうな巨岩もありました。PM1:59
詰めが近くなると谷が3つくらいに分岐していました。一番左側の急な谷に入って登って行くと、やがて写真のハンバーガーみたいな岩が見えて来たので、このあたりから左の尾根へ取り付きました。PM2:05
薄い踏み跡を辿っていくと巨岩の集積する望湖台(御在所岳最高点)の真下に出ました。
巨岩群を右に巻いて急な草付の斜面を登ると、望湖台の少し南側に出てしまいました。左に巻けば直接望湖台に出られたみたいです。
やっと望湖台に到着、雨乞岳とイブネがあんなに遠くなりました。PM2:25
”望湖台”の名は琵琶湖が見えるからだと思いますが、どでかい雨乞岳が手前にデン!と居座っているので少ししか見えません…
望湖台から眺める御在所岳山頂、望湖台の方がわずかに標高が高いです。ここ御在所岳も山頂部が広く、ピークが4ヶ所あります。ここ望湖台・写真の三角点ピーク・ロープウェイ駅がある朝陽台・そして御嶽大権現のあるピークです。
三角点ピーク(山頂)です。ロープウェイで上がって来た行楽客で賑わっていました。PM2:32
鈴鹿10座で登山口からもっとも遠い御在所岳の登頂を達成し、今回の目的が果たせました。
ちなみに、teppanは今回で13度目の登頂です。メインコースのある三重県側から登ればたったの2時間半~3時間くらいで到達できるのですが、滋賀県側の甲津畑から登頂したのはもちろん今回が初めて、テント設営に掛かった時間を差っ引いても、出発してからなんと9時間半です^^;
山頂から御嶽大権現へ。いつの間にか参道が舗装されていました。
御嶽蔵王大権現
御在所岳を開山した覚順行者が、明治17年に木曽の御岳神社から分霊してここに祀ったのが始まりだとか。(ロープウェイWEBページより)PM2:45
脇の仏像を安置した所にある大きな阿吽の狛犬? ひょうきんなお顔は琉球のシーサーのイメージです。
御嶽権現の裏から群界尾根を下ります。踏み跡はありますが、途中で紛らわしい分岐地点が2ヶ所あるので間違えないように。下りに向かって左側が甲賀市、右側が東近江市になります。
途中から尾根を逸れて急な山腹を下って雨乞岳の登山道「クラ谷道」に出ました。横断して尾根伝いに雨乞岳へ向かいます。PM3:18
遭難多発の注意喚起看板。鈴鹿の山はバリエーションルートレベルの道が多いのですが、SNSなどの普及で情報が簡単に手に入る様になった為、自身のスキルを越えたルートに入り込んでしまう例が多いのでしょう。
「道迷いで日没を迎え下山できなくなり遭難」と書いてありましたが、私達もこの後日没を迎える事になるのでした…(汗)
沢谷峠 PM3:32
三人山を過ぎて東雨乞への登り返し地点、この時点で日没までに間に合いそうにないことは承知していましたが、実は大問題を抱えていました。PM4:28
登山道脇のリンドウ
夕日を浴びる鎌ヶ岳を背に笹をかき分け登っているところ。
背丈近く伸びた笹をかき分け東雨乞岳に到着、とても展望の良いところなのですが、ゆっくり楽しんでいる時間はありません… PM5:14
歩いてきた御在所岳の望湖台と御嶽権現、そして鎌ヶ岳の眺め。
間もなく日没です。雨乞岳は双耳峰、笹原の先の本峰へ急ぎ向かいます。
途中で東雨乞を振り返ってみたところ。背丈を超える笹原の溝道は足元が見づらく岩もあるので注意が必要です。
雨乞岳本峰に到着、三角点があります。PM5:27 ここで日没です。
山頂すぐ近くにある池「大峠の沢:おおたわのさわ」です。流入する沢がないのですが、枯れた事がないのだそう。名前の通り雨乞信仰を裏付ける存在です。
尾根道を杉峠へ下ります。ところで大問題とは?
実は、イブネで設営したテント内にヘッドランプを置き忘れてきてしまったのです。大失態です。序盤は背丈を超える笹の溝道、中間からかなりの急斜面になる尾根道です。明かりも無しに下るのは困難が予想されますが、行くしかありません。
琵琶湖方面のトワイライト。
しばらくは残照がありましたが、急斜面に入る頃には真っ暗に… 杉峠まで約1キロ、急な上に石がゴロゴロした道です。1時間近く掛かりましたが、立木につかまりながら一歩一歩ゆっくり慎重に下りました。
月もなく真っ暗な中、必死に下ってなんとか杉峠に到着。PM6:15
まだここからイブネに設営したテントまでは1.6キロほど残っています。ここから先は比較的緩やかなのが救いですが、真っ暗ではさすがに辛い、そこで取りだしたのがスマートフォン、どこまでバッテリーが持つかは分かりませんが、懐中電灯機能のLEDライトを照らしながら歩きました。
杉峠の頭です。PM6:30 スマホの小さなLEDライトですが、光量は十分過ぎる程でした。どこまで持つかだけが問題。
そして午後7時、無事イブネのテントに辿り着きました。結局杉峠からの40分間、スマホのバッテリーは問題なく持続しました。これだけ使っても残量は90%を越えていました。もう少し早く月が出てくれたら助かったのになあ…
三重県側の街の明かりです。
ルートは大体分かっていたので、落ち着いてゆっくり歩いて戻ることができましたが、日が短い時期に無理な計画を実行してしまい、相棒に怖い思いをさせてしまった事は反省あるのみ。この時期は使おうが使うまいがヘッドランプは必携、装備をちゃんと確認しなかった事が招いた大失態、運良く事故は起きませんでしたが、ほとんど遭難と変わりない事態を招いたことは今後の戒めです。
苦肉の策ではありましたが、いざと言う時スマホが使える道具だと言うことを身をもって知ることができました。
タグ:鈴鹿の山
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