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チタニウムと山ごはん [モノ・道具]

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 チタンを使った製品達


 アウトドア遊びを趣味とする人間にとって、野外での食事はこの上なくリラックスできる幸福なひとときです。

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 ネットが普及して情報が入手しやすくなり、山歩きのスタイルも多様化してきました。便利な調理器具も出回るようになり、山ごはんも凝った料理を楽しむ人が増えてきました。

 そこで今回は、山で使う調理器具について備忘録を兼ねて書いてみることにしました。”山で調理など面倒、私はもっぱらカップラーメンだ”という人にも多少は関係すると思います。ただし、ここで書くのは便利な道具の紹介や料理レシピではなく、調理器具の素材「チタニウム」についてです。
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 調理して食べる際に必要になるのが鍋、フライパン、ヤカン、マグカップ等々ですが、山へ持ち出すにあたって要求される条件は、軽いこと、コンパクトなこと、使い勝手が良いこと、そして耐久性があることです。
 野外に限らず、家庭の調理器具においても代表的な素材はアルミニウムです。鉄(ステンレス)や陶器なども使われますが、アルミの占める割合は高いと思われます。

 そしてここ30~40年で、メガネフレームやアウトドア用食器・調理器具等で急速に普及してきた素材がチタニウムです。チタンと聞くと一般的に思い浮かぶのは、「軽い」「強い」「熱効率が良い」だと思います。間違ってはいませんが、誤解されている部分もありますので、ここにまとめておきたいと思います。

 調理器具の素材として金属を比較する際、重要だと思われる指標が次の4つ。teppanは専門家ではなく知識はありませんので、ネットの情報から簡単にまとめてみました。

1)熱伝導率    素材中を熱が伝わる速さ
2)比熱(熱容量) 素材1gの温度を、1℃上昇させるのに必要な熱量
3)比重      素材1cm3あたりの重さ
4)比強度     単位重量当たりの強度(各種試験数値を比重で割ったもの)

 指標と調理にどんな関係があるか?と言いますと、

1)熱伝導率    高いと器具全体にムラ無く熱が伝わる。低いと部分的に熱が集中して焦げ付きやすい。
2)比熱(熱容量) 素材の温まり易さ。比熱が大きい素材は一旦温まると冷めにくい。
3)比重      比重が小さい方が軽く調理器具に向いている。
4)比強度     数値が大きければ、同じ強度でもより薄く軽い器具を造ることができる。 
   
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 【主な金属】
熱伝導率
(W/m/K)
比熱(熱容量)
(J/g/K)
比重
(g/cm3)
418 234 10.50
372 419 8.96
295 130 19.32
アルミ 204 900 2.70
マグネシウム 159 1030 1.75
64 226 7.31
鋳鉄 48 461 7.87
チタン 17 528 4.54
ステンレス 16 502 7.82
 ※表は熱伝導率の大きい順です。実際に使われるのは合金の場合が多く、必ずしも表のとおりではありません。ちなみに、鉱物ですがダイヤモンドの熱伝導率は1000~2000と桁違い。比強度については単純に比較できるデータが探せなかったので掲載してません。


 火を使って調理するのに向いている素材とは、熱伝導率か高く、熱容量が大きく、比重が軽い金属です。最も向いているのがアルミだと言うことが表から分かりますね。伝導率は金銀銅の方が優れていますが、重さやコスト面でアウト。マグネシウムも優れていますが、扱いにくい金属なので一般的ではないようです。

 チタンはどうでしょう?
 ステンレスより軽くアルミより強度があるので、調理器具に向いている気がしますが、熱伝導率がアルミより極端に低いのが欠点です。要するに火が当たる部分だけ集中して温度が上がるので、焦げ付き易いということ。アウトドア向け商品にチタンフライパンが出回っていますが、ステンレスと同様に炒め物調理には向いていないと言えます。同じ理由で長時間の煮込み調理や炊飯にも不向きです。

 しかし、裏を返すと欠点は長所でもあります。熱伝導率が低いという事は、熱い飲み物を注いでも飲み口が熱くなりにくいという事です。アルミのカップに熱湯を注いだら縁がすぐ熱くなって素手では持てませんよね、でもチタンなら持てるのです。フライパンや鍋にはイマイチですが、食器に向いている素材と言えます。マグカップやシェラカップ、箸やスプーン・フォークには最適です。

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チタンは強い・固い
 引っ張ったり曲げたりした場合の強度は高いですが、固さはそれ程でもありません。こすったりした時の摩耗にも弱い。

チタンは熱効率が良い
 比熱がアルミの半分近く、温まりやすく冷めやすい。少ないエネルギーで温められるので熱効率は良い訳ですが、調理に関して言えば、たとえばせっかく鍋を温めても、冷たい食材を入れるとすぐ温度が下がってしまうと言うことです。

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チタンは軽い
 ステンレスに比べてかなり軽い金属です。アルミよりも重いですが強度の面では優れていて、より薄い材料で実用強度が出せるので、結果的に軽い製品を造る事が可能。
 上の写真はステンレス280ml(左)とチタン450ml(右)のマグカップです。このステンレスマグカップ(67g実測)も驚異的に軽いと思いましたが、右のチタンカップはサイズが大きいにも拘わらず、さらに2グラム軽い(65g実測)です。

 
チタンは腐食に強い
 酸素や窒素と反応し易く、表面に被膜が形成されるので腐食しにくい。この点はアルミも同様。アレルギーも起こしにくい金属だと言われている。
 メガネフレームや切削用の刃物に施される表面処理はチタンを使ったイオンプレーティングと呼ばれるものです。表面に金色で美しい窒化チタンの被膜が形成され、固く耐摩耗性に優れます。

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 チタンやステンレスの鍋やヤカンでお湯を沸かすとお湯がボコボコ弾けるのは、熱伝導率が悪く部分的に熱くなるせいだったんですね。オートバイの排気管や、チタン製のゴトクが青く虹色に焼けるのも同じ理由です。

 ダラダラと長い記事になってしまいました。以上チタンについての覚え書きでした。


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